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『経営者感覚』に関するコラム |
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◇『経営者感覚』とは何か? |
その言葉の通り、経営者が持っている仕事に対する考え方や姿勢であり、一般的に社員は持ち合わせていない感覚です。
中小企業の社長の多くは体を張り命を賭けて事業に取組んでいます。リスクを取りながら頑張っているのですから、仕事に対する気合いの入り方が違います。
このように考えると、社員がそこに近づくことは容易ではありません。しかし少しでも経営者の仕事を理解して、少しだけ経営者の仕事への姿勢や取組み方を横展開することが出来れば、会社は飛躍的に発展することが期待できます。
社員の経営者感覚を推進するためには、経営者側としてはオープンにすべき情報の範囲を広げ、社員に理解を促すことが必要です。様々な問題に関して経営者・社員の全員で考えれば思いもよらない新しいアイデアが出てくることが期待できます。仕事の最前線である現場の方々は、社長よりもずっと長い時間、試行錯誤しながら仕事をしています。そこに本当に必要な情報提供と、経営者感覚という問題に対する取組み方を伝えることが出来たならば、今以上の成果が期待できるでしょう。
「経営者感覚」を3つのポイントで表現すると、
(1)会社の事業目的と意義(理念)を理解する。
(2)採算感覚を持ち、利益を考えて仕事をする。
(3)改善を積極的に実行し続ける。
これらは経営者感覚の最上位の概念をポイントとしてまとめたものであり、当社では『経営者感覚』に関して、さらに詳細に体系化しています。ご説明については別の機会とさせていただきます。
今の時代の変化を鑑みると、結論として必要だと考えています。会社の中が『経営者+受け身の作業者(社員)』という構造では、会社のパワーは弱く、強くなるためには重要であると思います。
よく会社や組織を喩える例として、機関車型か、新幹線型か、という話があります。機関車型は先頭車両だけに動力が付いていて後ろは全て動力の無い客車という構成です。一方、新幹線型は全ての車両にモーターが付いていて、全体で大きな力を出して進んでいく構成です。どちらが理想かという話ですが明らかに後者ですね。
当社は、これらの機関車や新幹線の動力に相当するのが『経営者感覚を持った人材』だと考えております。ただし経営者感覚と言っても、そのレベルは何段階にも分かれます。しかし、少しでも経営者感覚を持つこと、その育成に力を注ぐことが今の企業にとっては大変重要な課題であると考えています。
さて、海外企業との差別化については、かつては円安や国内の安価な労働力が西洋の国々に対してのアドバンテージでした。しかし現在、円高やアジア勢をはじめとした安価な労働力と技術面での追い上げ攻勢のなか、次は何で勝負をしていく必要があるのでしょうか?
引き続きグローバルでの技術的な優位性でしょう。高品質と言えば日本の代名詞であり、この看板は何としてでも死守しなければなりません。さらに環境面など日本の優位性を維持しなければなりません。
これらの優位性を維持するためには『付加価値の高い新しい知恵』が必要です。その知恵の源泉は、最前線の現場にあります。そして知恵を生み出すのは誰かというと、紛れもない最前線で働いている方々です。お客様に最前線で接している現場でこそ、リアルなニーズを掴めることが出来ます。モノづくりの最前線の現場でこそ、より低コストでの作り方を編み出す知恵が隠れているはずです。その知恵をどうやって引き出すことが出来るか?
『経営者感覚』という考え方が、そのトリガーになるのではないかと考えます。
ところで、私たちは学生時代、ずっと国語・数学・理科・社会に多くの時間を割いてきました。ところが社会に出た瞬間、重要だと思っていたことがガラッと変わりました。社会で一番重要なことは何だったのでしょうか。
誤解を恐れずに言いますと、それは『商売』だったのではないでしょうか。(ここでいう商売とは金儲けということではなくて、信頼関係をベースにした二者間の交渉事や取引という意味でご理解いただければと思います。)そうであるにも関わらず多くの社会人は学生時代に商売のことを学ぶ機会も無く、素人の状態で社会に投げ込まれています。そして見よう見まねで『商売』に関することや『経営』に関することを独学で身につけて頑張っているように思えます。経営者も我流で頑張っている方々がほとんどだと思います。
このような状況だとすると、まだまだ出し切れていない潜在能力が社員には隠れているはずです。だから『経営者感覚』に関して考えることが、大変重要なことになるのではないかと思うのです。
「経営者感覚」の第一歩は、受け身の作業者からの脱却を目指すことです。その第一歩としては、何か能動的に行動できるようになる、ということです。どんな小さなことでも結構です。
そして、行動の前に必ず必要なことがあります。行動は何かの「きっかけ」があって初めて出来ることです。そのきっかけとは?
それは「問題に気付くこと」です。
問題に気付き、それは良くないと思い、何とか良い方向へ変えなければと思い、何か新しい方法を考え、それを試してみようと行動を起こしてみる。これらの一連の流れのきっかけは、「気付くこと」なのです。そこから能動的な行動が始まります。もし素晴らしい解決手法を知識として知っていても、目の前にある問題に気付くことが無ければ、その問題は解決されることはありません。
『コンセプト』のページには、「気付く」を出発点とした『経営者感覚のサイクル』について記載していますので、併せて参考にしていただければと思います。
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